環境ジャーナリスト・翻訳家、幸せ経済社会研究所所長、東京都市大学環境学部教授。東京大学大学院教育心理学専攻修士課程修了。環境問題に関する翻訳、執筆、講演、企業のCSRコンサルティングや異業種勉強会等の活動を通じて、地球環境の現状や国内外の動き、新しい経済や社会のあり方、幸福度、レジリエンス(しなやかな強さ)を高めるための考え方や事例等を研究。「伝えること」で変化を創り、「つながり」と「対話」でしなやかに強く、幸せな未来の共創をめざす。
昨年12月にパリで開催された温暖化の国際交渉「COP21」が、「画期的!」「歴史的合意だ!」とメディアでも取り上げられていましたね。
「何だかすごいことがあったみたい」と横目で見ながらも、「何がすごかったのだろう?」「そもそもCOPって何だろう?」と思っていた方も多いのではないかなぁと思います(大学で教えている学生たちに聞いてみても、そういう反応が多かったように思います)。
そこで! 今回は「COPとは何か」からはじめて、これまでの経緯を説明しましょう。そうしたら、なぜ今回のCOPが「画期的!」だったのかがわかります。他の人にも「パリ協定ってね」と説明できるようになります。ではさっそくGO!
報道では「コップ」「コップ21」と耳にされたことと思います。耳で聞くととくに「コップって何?」という感じですよねぇ。
COPというのは、「Conference of Parties」の頭文字をとったものです。Conference(カンファレンス)とは「会議」のこと、Partiesとはご存じparty(パーティ-)の複数形ですが、誕生日パーティーなどの「パーティー」という意味のほかに、「契約などの当事者」という意味があります。つまり、「契約の当事者会議」というわけです。ここでの「契約」は国際条約のことです。その条約を結んだ当事国の会議という意味で、日本語で「条約を結ぶこと」を「締約」というので、COP=Conference of Parties=「締約国会議」ということになります。
ここまでで、COPというのは「条約に署名した国の会議」であることはわかりましたが、「はて、何の条約なのだろう? 条約っていってもいっぱいあるし」と思った方、ピンポン♪です!そうです、条約ごとにCOPがあるのです。生物多様性条約のCOP(締約国会議)もあります。その第10回(つまりCOP10、正式名称は「生物多様性条約第10回締約国会議」が2010年に名古屋で開催されたときにも「コップ、コップ」とお聞きになったのではないでしょうか。
さて、今回取り上げるCOP21、つまり第21回締約国会議とは、「気候変動枠組み条約」の締約国会議です。気候変動とは温暖化のことですね。その生まれから、これまでの経緯を簡単に振り返ってみましょう。