大きな原動力は、ESG投資です。ESG投資とは、Environment(環境)、Society(社会)、Governance (ガバナンス)という観点も採り入れて、企業を選別して行う投資です。単に環境分野の企業や環境技術の有無などではなく、すべての企業が対象になります。なぜなら、どのような業種・規模の企業であっても、ガバナンスはもちろん、環境面・社会面での影響を有しているからです。
世界のESG投資の残高は、2016年の数字で約22.8兆ドルといわれています。これは、世界の全投資額の26.3%にあたり、欧州では全投資の53%が、米国では22%がESG投資となっています。
日本ではどうでしょうか?
日本でのESG投資の割合は、まだ3.4%とのこと。世界でESG投資が進んでも、日本ではなかなか進まなかった理由は、機関投資家が動かなかったからです。
しかしその日本でも、2015年9月にGPIF(厚生年金と国民年金の積立金、約130兆円を運用)がESG投資をスタートすることを宣言し、2017年にはすでに約1兆円のESG投資を行ったとされています。
環境面や社会面での企業の取り組みや実績を知るためには、SDGsへの取り組みを見るのがわかりやすいとして、投資家が企業のSDGsへの取り組みに注目するようになってきました。
このように投資家・資金が動けば、企業も動き出します。「ESG投資を受けられるように、わが社もSDGsに取り組む必要がある」という“圧力”が原動力の1つとなって、SDGsへの関心・意識・取り組みが急速に広がりつつあるのです。
ベターリビングの推進する「ブルー&グリーンプロジェクト」は、省エネ型ガス給湯・暖房機を普及することで、家庭での消費エネルギーを削減し、CO2排出を抑制しながら、対象機エコジョーズ、エコウィル、エネファームを購入すると、植樹活動への支援につながるというものです。
家庭での省エネ効果と、植樹した樹木が成長の過程で吸収するCO2をあわせると、年間105万トンのCO2を削減していることになります。これは日本の家庭約21万世帯の年間CO2排出量に相当するということなので、「排出を抑え、吸収を進める」両面の取り組みを同時に進めることで、とても大きな効果を出していることがわかります。 ではこのブルー&グリーンプロジェクトは、SDGsの17目標でいえば、どれに関わるものでしょうか?
まずは”高効率給湯器の普及(=省エネ)”は「7:エネルギー」、植林活動は「6:水源確保」「15:森林」への対応として有効ですね。
そして、以前のベトナムでの植樹活動では、林業の雇用創出効果もあったとのことですので、現地の人々の収入獲得による「1:貧困」「2:飢餓」「3:健康」「4:教育」「10:不平等の是正」対策にもつながります。
さらに、主体は国内事業者でありながらも、海外の人々や団体とも協働して推進する仕組みは、「17:グローバルパートナーシップ」の好例でもあります。
このように見てみると、ブルー&グリーンプロジェクトという一つの取り組みが、17目標のうちの9つにも関わっているんですね!
今後、皆さんが自社製品やサービスを考えたり、あるいは社会課題を解決するボランティア活動や社会事業に携わったりするときなど、是非、SDGsが掲げる5つの分野の17目標を思い出してみてください。
大きな観点からの多面的な捉え方が、新たなアイデアを探るフレームとして、また自分や他人のモチベーションを引き出したり、向上させたりする動機として、役に立ったら嬉しいなと思います。