「1℃」は「2℃」の半分

最初に述べたように、産業革命以前に比べ、地球の平均気温は「1℃」上昇しています。国際社会の「2℃まで」という気温上昇を抑制する目標の半分まで来てしまっている、ということです。私は数年前までは講演で、「世界の平均気温はすでに0.7℃上がっています」と話していたのですが、温度上昇が続いていて、ついに「1℃」になってしまいました。


前号で紹介したように、2015年12月に締結されたパリ協定では、「産業革命前からの気温上昇を2度より十分に低く抑える」という目標を掲げたうえ、さらに「1.5度以内とより厳しい水準へ向けて努力する」ことを明記しました。これまでの「2℃」だけの目標よりも、厳しい目標も視野に入れて努力しよう、ということです。ここにも、この間の社会の温暖化に対する認識の変化が見て取れます。
つい最近の4月22日、ニューヨークの国連本部で「パリ協定」の署名式が開催され、171カ国・地域が参加したというニュースがありました。パリ協定には、中国や米国といった排出量の多い国をはじめ、先進国も途上国も含め196カ国・地域が参加しています。パリ協定は、世界の温暖化ガスの排出量の55%を占める、少なくとも55カ国の批准をもって発効すると定められており、今回の署名は協定内容に同意するという意思を表示するものです。
1つの懸念は、関係国の参加状況です。特に排出量の大きい国の参加状況は重要です。そのような国の情勢についてパリ協定の枠組みから離脱することがないよう、また、他の国に影響が及ばないよう注視することが大事です。(例えば、京都議定書のときも米国が途中で離脱し、枠組みを揺るがしました。今回も、排出量の大きな米国がちゃんと参加するかどうかが鍵を握っています。その結果により、中国など他の国も離れてしまうのではないか、と心配されています。)せっかく世界全体が合意したパリ協定も水泡に帰し、世界の温室効果ガス排出は増え続け、それ自体十分に厳しい目標だと言われる 2℃という抑制目標を突破してなお温度上昇が続くという事態にもなりかねません。


世界の動向を注視しつつ、まだ不十分と言われる日本の削減目標の積み上げに向けて、私たち一人一人ができること・すべきことをしっかり考えていく必要があります。


ベターリビングで進める「省エネで排出量を減らす」ブループロジェクトと、「植樹で吸収量を増やすグリーンプロジェクトの取り組みの重要性がますます大きくなってきます!

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