実際に、気温はどのくらい上がってきているの?

「気温はどのくらい上がってきているのか?」を考えるときに、最初に確認すべきことは、「どの時点から?」です。どの時点に比べての上昇幅の話をしているかを確認しないと、話がトンチンカンになってしまうかもしれません。
温暖化の話をするときには、「産業革命以前と比べて」という言い方をよくします。どうしてだと思いますか? 産業革命が始まってから、人間は地下から石炭、石油、天然ガスを掘り出し、それらを燃やしてエネルギーを創り出してきました。こういった化石燃料を燃やすときに出る二酸化炭素が、温暖化の原因である温室効果ガスの大半を占めています。そこで、そういった人為的な温室効果ガスの大量排出が始まる前と比べて、どのくらい温度が上がったか、という話になるのです。
では実際に、産業革命以前と比べて、どのくらい気温が上がっているのでしょうか?
2015年の11月下旬に、世界気象機関(WMO)が「2015年の平均気温が観測史上で過去最高になる見通しで、産業革命前と比べると(1880~99年との比較)、1℃の上昇になる」と発表しました。「1℃」の上昇です。
「日によっての気温差を考えると、1℃ぐらいの上昇はたいしたことがないのでは?」と思うかもしれません。たしかに、日々の寒暖の差など、短期的な気温の上下は頻繁にありますよね。でも、「産業革命以前と比べて1℃の上昇」という、この数字は「平均気温」ですから、短期的な気温の上下は平均化されています。短期的な気温ではなく、平均気温が上昇しているのです。

何℃まで気温が上がってもダイジョウブなの?

世界の平均気温は、産業革命以前から1℃上昇していることを押さえたうえで、「では、何℃まで上昇しても大丈夫なのだろう?」を考えてみたいと思います。かつては「温暖化防止」と言っていました。しかし温暖化は進行中で、すでに気温も1℃上昇しています。どこまでも気温が上がっていくことは受け入れられないでしょう。すると、「温暖化の進行を何℃で止めることをめざすべき」なのでしょうか?
現在、国際社会の合意は「産業革命以前に比べて、2℃の上昇までに押さえる」ということを目標としています。温暖化に関する国際交渉や条約などの動きを伝える報道を見ていると、この「2℃」という数字がよく出てきます。この「2℃」という数字はどこから来ているのでしょうか?
「気温上昇を2℃以下に抑える」という目標が国際合意となったのは、2010年にメキシコのカンクンで行われたCOP16(第16回締約国会議)でした。COP16での合意文書には、「産業化以前からの世界平均気温の上昇を2℃以内に収める観点から、温室効果ガス排出量の大幅削減の必要性を認識する」と書かれています。
その前の年にコペンハーゲンで開催されたCOP15でも、「2℃」についての言及はありましたが、議論が紛糾し、合意文書が採択されませんでした。そういった経緯を経て、COP16でようやく「2℃」が国際的に合意された文書に含まれたのです。COP16後のCOPやG7サミットなどでも、繰り返し「2℃目標」が述べられています。

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