6月11日(日)に震災後初めてとなる市民主体による高田松原での本植樹、2017年度 第1回「高田松原」再生植樹祭が開催されました。当日は「ブルー&グリーンプロジェクト」のイメージキャラクターで3年前から高田松原に携わってきた谷花音さんから地元の子ども達へマツ苗が贈呈され、高田松原の新たな歴史のはじまりを飾りました。
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ありがたいことに本日は全国各地やアメリカからたくさんの方に集まっていただきました。その方たちと一緒に、高田松原の再生のためにマツ苗を植えることができたというのは、まさに感無量。うれしかったです。参加してくれた子供たちには、「今日は植えてくれてありがとう。このマツ苗が大きくなっていく姿を見られるのは、あなたたちなんだよ」と伝えたいです。マツ苗の成長と自分自身の成長を重ね合わせながら、子供たちも元気に育っていってほしいと思います。元のような立派な高田松原になるには50年かかると言われています。私はそこまでは生きられないので、まず健康に気をつけて、高さ12.5メートル になるくらいになる第二剪定の頃までは、ちゃんと自分の目で見られるようにやっていきたいと思っています。
私たちの子供時代は、水泳の授業や遠足、潮干狩りなどの学校行事のたび先生に連れてきてもらって、高田松原で楽しい思い出をたくさんつくりました。これから生まれてくる人たちにも、同じようにここ高田松原で楽しい思い出を作っていただきたい。そういう思いで、「守る会」では白砂青松の高田松原の再生をめざして活動しています。「守る会」だけではできないことはたくさんあるのですが、ベターリビングさんや日本緑化センターさん、それから今日集まってくれたボランティアの方々の助けを借り、交流を通して学びながら進めています。また来年、再来年と植樹活動は続きます。若い世代の参加や一般市民の皆さんとの結びつきについても考えながら、これからも精力的に取り組んでいきたいと思っています。
これまでは、高田松原再生の準備期間として、「多くの人に関心を持ってもらうこと」を一番のテーマに取り組み、人と人との関係づくりに重点を置いてきました。他県でつくっていただいた竹簀(たけず)づくりも、参加意識を実感できる場をつくることが、やがて松原への共感や行動につながるだろうとの考えからです。
今年からようやく植樹が始まり、再生活動は「保育」の段階に進みました。私共は、技術的に確かなものをお伝えして、実行に移すサポートをすることが一番の役割だと考えています。私共は普段は東京にいて現地との距離がありますので、これからは地元の方々と「一緒に進める関係」を大事にしていきたいと思っています。
私がこの活動で大切にしているのは、「息切れさせない」ということです。海岸林の再生は、とても時間がかかります。毎回同じことをやります。面積も広いです。するとだんだんマンネリ化してしまうんです。だからこそ、いかにモチベーションを持続させるかが大切で、そのためのテクニックや仕掛けづくりが必要だと感じています。地域の活動組織における参加者の少なさと高齢化は全国共通の問題です。活動組織の世代交代をいかに円滑に進めるかも、これからの非常に重要な課題のひとつになるのではないでしょうか。松原の再生活動は、地元との距離をうんと詰めて、くっついてやっていかないと何にもできません。「あとは皆さんで続けてください」と言える状態までもっていくことが、私共のもう一つの役割だろうと思っています。
私共ベターリビングは、本日の植樹祭で使用したマツ苗を提供させていただきました。3年前の2014年度からこの高田松原のプロジェクト支援に携わらせていただいているのですが、昨年の試験植栽を経て、本日の植樹へとつながっていく様子をも届けることができ、感動的でした。今後の展望としましては、今年から2019年までの3年間で約1万本の苗木を提供させていただくとともに、マツ苗がちゃんと育つことができるよう、その保育等に関わる人材育成などについても、引き続き支援させていただく予定です。松原が元の姿に戻るにはあと40〜50年かかると言われていますが、今後もマツ苗の成長の過程を見守っていけることは、私個人的としても幸せなことだと思います。