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InterviVounteers’ ewl27高田松原の再生は市民だけでは成しえない。力を貸してくれた数多くのボランティアのみなさんを代表して、牧野さん、片野さん、根本さん(写真左から)の3名が、ボランティアのあんな話、こんな話を語ってくれました。 〈以下敬称略〉高田松原でのボランティア活動はどうやって知りましたか?片野〉 NPOのパクトというボランティアの手配などをしている団体があって、がれき撤去とか側溝の掃除が終わったころに、高田松原の再生という話が来て。根本〉 私も同じですね。パクトがなくなるような話になって、そのまま高田松原を守る会と活動することになりましたね。牧野〉 自分は個人ボランティアで活動していて、災害ボランティアセンターから「今日は非浸水地域で、600本の苗を植えるので手伝って」と言われて。個人はそんな風に派遣されることが多かったですね。ボランティアをする側から見た高田松原は?根本〉 困っている人がいて、地元の方々が生活のこともありなかなか活動が進まない、そんなときにどうしても外からの手助けがいりますからね。求められているなら手伝おうっていう、ただその気持ちだけですね。片野〉 高田松原の再生活動は、他の被災地での活動がなく、また津波から少し時間がたっていたこともあって、笑いながら、楽しみながら作業することができました。それが本当に良かったですよね。 災害直後の場所だと、笑い声どころか、話すのもはばかられるところがあるし、写真を撮ったりもできませんが、高田松原ではみんなで写真を撮ったり、大きい声で話したり。牧野〉 行方不明の方を探すとか、がれきを片付けるといった作業は気持ちがどうしても暗くなりがちですよね。マイナスになったものを少しでも取り戻していく作業というか。それに対して高田松原の活動は唯一、未来に向かってプラスのことができる、自分の気持ちの部分で質の違う活動だなって思っていました。 災害ボランティアって、復旧した時点で終わりという感じがありますが、高田松原は50年先の未来につながっていますからね。苦労した部分、工夫した部分はどんなところ?牧野〉 高田松原を守る会の分担が1万本の植樹だったんですが、もうスケールが壮大すぎて。風よけの竹簀を1枚編むのに20分かかるとして、これどうやって1万枚も編むんだ、と。いろいろ工夫が必要になりますよね。作る工程を合理化して、工場のラインで生産しているような感覚。個人ボランティアの中には、改善とかにたけている人がいて「この工程に問題がある」みたいな指摘を受けたりして。ある意味、会社に行くよりおっかなかったみたいな(笑)。片野〉 竹簀を編むのは難しくってね。どうしても編めないっていう夢を見た個人ボランティア  牧野旭さんチームなまはげ&こまち 片野恒夫さん少林寺拳法グループ 根本和史さんりして(笑)。得意な人もいますが、私は竹を削る専門になりました。自分の仕事が建具屋なので、独自のかんなを作って、その作業に徹しました。適材適所っていうか、流れ作業をするラインが自然にできてきましたね。牧野〉 1万枚近くなってくると、誰が1万枚目を編むんだっていって盛り上がりましたね。俺だ、いや俺だ、みたいに。28笑いながら、楽しみながら。数少ない「プラス」を感じられるボランティア。

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